高齢者にとって本当によい介護とは
介護の現場にいるとしばしばそのご家族の方との様子を見ることがあります。
その時に感じるのが、周囲の人にとってとご本人にとってとで本当に望ましい介護というのはずいぶん異なることも多いということです。
例えばご家族にしてみれば自分たちは遠方に住んでいるし介護の知識や医療の知識もなくいざというときにすぐに対応ができないので、安心できる施設への入所を勧めたりします。
ですが高齢者にしてみると、急激な環境の変化はむしろ大きなストレスになったり、それまで一緒に生活してきた周囲の人ともお別れをすることになるので抵抗感を覚えたりします。
若い人にとっても引っ越しは大きなストレスになるものですが、高齢者になるとさらに環境への順応能力が低下してしまうので、時に一気に認知症を促進するような深刻な状態を招いてしまうこともあります。
高齢者の方は周囲が思っているよりもずっと繊細で外部からの刺激に対しての抵抗力が弱い存在なので、会話やコミュニケーションが取りづらいからといって本人の意志を無視するような行動は例え本人のためを思ってのことであっても十分に気をつけて行わなくてはいけません。
高齢者の頑固さの理由
高齢者と接していて手を焼くことが多いのが頑固な性格です。
周りにしてみればたかがそんなことと思うようなことなのに、異常に固執をしたり突然激高したりというようなことがあったりします。
明らかに自分の方が間違っているにもかかわらず絶対に自分のミスを認めようとしなかったあり、バレバレのことをいつまでもしらばくれていたりということもあります。
場合によっては屁理屈でじぶんの正当性を主張して自分一人だけ納得をしてしまうという都合のよい解釈をすることもあり、周囲は「またか、やれやれ」と諦め半分で呆れるような気持ちにもなります。
よく「年をとると性格が丸くなる」と言われますが、逆に頑固さを増してしまうような人も実際には多く見られます。
このような頑固さのもとになっているのは、強烈な「自己肯定」の本能です。
人は歳を重ねると自分がそれまでやってきたことを間違いではなかったと思い込みたいあまり、自分の失敗を認めず自分の考えだけが正しいと強く思うようになります。
非常に小さなことでも注意されたり指摘されたりすると自分のそれまでのこと全てを否定されたような不安感を覚えるようになり、内心ではうすうす自分が間違っているとはわかっていつつもそれを素直に認めることができなくなってしまいます。
しかしそこで理屈で相手をやり込めたり意地でも相手に間違いを認めさせようとしてしまうと、そこで自信の喪失を相手に与えてしまうことになり、高齢者に大きなストレスを与えることになります。
確かに意固地な態度をとられるとされるこちらもカッとして仕返しの一つもしたくなってしまいますが、そこでぐっとこらえて粘り強く会話をしていくことこそが、高齢者にとっての本当の意味での正しい接し方となります。